コラムCOLUMN

バリアフリーに欠かせない「滑り止め」――安心して歩ける環境づくりのポイント

「バリアフリー」というと、段差をなくしたり、手すりを設置したりすることを思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、誰もが安全に移動できる環境を考えるうえで、意外と見落とせないのが**床や階段の「滑りにくさ」**です。

高齢者や車いすを利用する方、視覚に配慮が必要な方、子どもなど、さまざまな人が利用する建物では、床面の状態が移動のしやすさや安全性に大きく関わります。

 

なぜ「滑り止め」がバリアフリーに必要なのか

床が濡れている場所や、表面が滑りやすい素材を使用している場所では、歩行中に足を取られ、転倒する危険があります。

特に注意したいのが、玄関、廊下、階段、浴室、トイレ、屋外のアプローチなどです。

バリアフリーでは、単に段差をなくすだけではなく、移動する床そのものを安全にすることも重要です。

国のバリアフリーに関する基準でも、不特定多数の人が利用する廊下や階段について、表面を粗面にする、または滑りにくい材料で仕上げることなどが求められています。

また、階段では踏面の端部を識別しやすくすることや、つまずきの原因となる構造を避けることも重要です。

つまり、バリアフリーを考える際には、

「段差をなくす」+「滑りにくくする」+「足元を認識しやすくする」

という複数の視点から、安全性を考える必要があります。

 

階段の滑り止めは「滑らない」だけでは不十分

階段の転倒防止対策として、滑り止めを設置することは有効な方法のひとつです。

施工するタイプの「グリハードプロ」や、貼り付けるタイプの「グリテープハード」など、階段の状況に応じてさまざまな滑り止め対策があります。

しかし、階段の滑り止めは、単純に「摩擦が強く、滑らなければよい」というものではありません。

例えば、滑り止めが大きく盛り上がっていたり、端部が浮いていたりすると、今度は足や靴を引っ掛けてしまう可能性があります。

実際に、消費者庁の資料でも、階段に設置された滑り止めが浮いていたことによって、靴が引っ掛かり転落した事例が紹介されています。

そのため、滑り止めを設置するときには、次のような点も確認することが大切です。

 ・しっかり固定されているか
 ・端部が浮いていないか
 ・歩行の妨げになるほど出っ張っていないか
 ・摩耗や剥がれがないか
 ・階段の段鼻を認識しやすくできているか


「滑りにくくすること」と「つまずきにくくすること」の両方を考えることが、階段の安全対策では重要です。

 

「滑りにくさ」と「見やすさ」の両方が大切

バリアフリーを考える際には、滑り止めの性能だけでなく、視認性にも目を向けたいところです。

バリアフリーに欠かせない「滑り止め」――安心して歩ける環境づくりのポイント

階段では、踏面の端部と周囲との色の明度・色相・彩度に差をつけることで、段の位置を認識しやすくすることが重要とされています。

特に階段の段鼻が周囲と同化していると、段の位置が分かりにくくなり、踏み外しやつまずきにつながる可能性があります。

そこで、視認性の高い滑り止めを階段の先端部分に使用することで、

「滑りにくくする」

だけでなく、

「段の位置を分かりやすくする」

という役割も期待できます。

高齢者や視覚に配慮が必要な方が利用する施設では、足元の段差を認識しやすくすることも、安全な歩行環境をつくるうえで重要なポイントです。

 

水回りは特に注意したい場所

浴室や洗面所、トイレ、大浴場などの水回りは、床が濡れることで滑りやすくなるため、特に注意が必要です。

乾いた状態では問題なく歩ける床でも、水や洗剤などが付着することで滑りやすくなる場合があります。

そのため、住宅や施設のバリアフリー化を考える際には、床材そのものだけでなく、

実際に使用される環境を考慮して滑り止め対策を選ぶことが大切です。

重要なのは、単に「滑り止めを施工する」のではありません。

その場所の、

・用途

・床材
・水分量
・使用頻度
・利用者
・清掃方法
・景観やデザイン
などを考慮し、適した方法を選択することがポイントです。

大浴場にも対応できる滑り止め対策
大浴場などでは、安全性だけでなく、施設の雰囲気や床材の外観を維持することも重要になります。  

画像の大浴場では、見た目かわらず滑り止め効果のある 【マイクロ穿孔処理】を施工。   

バリアフリーに欠かせない「滑り止め」――安心して歩ける環境づくりのポイント     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

滑り止めは「設置して終わり」ではない

滑り止め対策で意外に忘れられがちなのが、施工後の定期的な点検・メンテナンスです。

滑り止めは時間の経過とともに、摩耗したり、接着力が低下したり、端部が浮いたりすることがあります。

せっかく安全対策として設置したものが、劣化によって新たなつまずきの原因になってしまっては本末転倒です。

そのため、施設や住宅を管理する場合は、

「滑らないか」だけでなく、「剥がれていないか」「浮いていないか」「つまずかないか」

という視点で定期的に確認することが大切です。

 

まとめ――バリアフリーは「安心して歩けること」から

バリアフリーという言葉からは、段差解消や手すり、スロープなどをイメージしがちです。

しかし、本当に安心して移動できる環境をつくるためには、

床や階段を滑りにくくすることも重要な安全対策のひとつです。

滑り止めを選ぶときには、摩擦性能だけを見るのではなく、

「滑りにくい」
「つまずきにくい」
「段差を認識しやすい」
「しっかり固定されている」

という複数の視点から考えることがポイントです。

年齢や身体の状態にかかわらず、誰もが安心して歩ける環境をつくる。

そのための重要な工夫のひとつが、床や階段の「滑り止め」です。

 

安心・安全な環境づくりをお考えの方へ

滑りやすい床や階段、段差など、日常の中にある「少し気になる」「危ないかもしれない」という場所が、転倒事故につながることがあります。

弊社では、滑り止め施工やバリアフリー対策を通じて、誰もが安心・安全に過ごせる環境づくりをご提案しています。

 

現場の状況や用途に合わせた施工方法のご提案はもちろん、施工後のメンテナンスまで含めてサポートいたします。

「この場所にも滑り止め対策はできる?」

「どのような方法が適しているかわからない」

といったご相談も、ぜひお気軽にお問い合わせください。

安全で快適な環境づくりを、施工からメンテナンスまでトータルでお手伝いいたします。

カテゴリ一覧